光のもとでⅠ
 環境を変えただけですべてがうまくいったかなんてわからない。
「本当ね……。『もし』なんて考えてもなんの意味もないし、何も得られないのね」
「どんな分岐点があったのか――自分たちが何を見過ごしてきてしまったのか、それらを振り返り知ることに意味はあると思う。でも、翠葉が『今』を受け入れているのなら、自分も翠葉と一緒に前を向こうと思う」
 翠葉自身がこのタイミングで藤宮に来ることができて良かったと思っているのなら、それが「正解」なんだ。
 幼稚園、小学校、中学校、高校――ここに来るまでいくつもの分岐点があった。
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