光のもとでⅠ
 図書棟の入り口にたどり着くと、
「あら、こんなところに低気圧が停滞中」
 青木がクスリと笑い、嫌みたらしく口にした。
 低気圧で結構、機嫌は最高潮に悪い。
 嫌みのひとつでも返したいところだったが、とりあえずは礼を述べ巡回へ戻るように言った。
「翠は巡回に出なくていいから会計作業に戻れ」
 俺を見た途端、翠は開けていた口を閉じ不安そうに瞳を揺らす。
 その視線に耐えかね、再度「戻れ」と口にすると、翠は慌ててその場の人間たちに会釈した。
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