光のもとでⅠ
「じゃぁ――翠がかわいくて直視できない。かわいくて困る」
 そこまで言って視線を合わせると、翠は目をまん丸に見開いていた。
「……って、俺がそう言って翠を避けたらどうする?」
 翠は急に泣きそうな顔をして、
「意地悪……。そんなこと思ってないなくせに」
 本気で「意地悪」だと思われている気がして、つい本音が漏れる。
「……思っているかもしれないだろ?」
 そうは言ってみたものの、信じるには程遠そうな表情をしている。
 だから、いつものように笑みひとつで冗談とすり替えた。
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