光のもとでⅠ
 ぼーっとしながらお母さんに手伝ってもらって着替えを済ませた。
「電話すれば迎えに行ったのに」
「うん」
 答えつつ、私は帰り道の出来事を思い出していた。
 お母さん、私……今はこんなだけれど、でもね、電話しないで良かった。
 電話して迎えに来てもらっていたら、ツカサの好きな人を知ることはできなかったし、ツカサの誤解を解くこともできなかった。
 だから、今日の選択は間違っていなかったと思うの。
「今、唯がスープ温めなおしてくれているから、それを飲んでお薬を飲んだら寝ちゃいなさい」
「はい」
 このときから少しおかしいとは思っていた。
 なんで喉が痛いのかな、って。
 唯兄が用意してくれたスープも、結局は半分も飲めずにごちそうさました。
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