光のもとでⅠ

04

 マンションへ帰ってくると、「お母さん」という最後の砦が待っていた。
 帰宅の挨拶から始まった会話は体調を確認するものに変わり、週末に静さんのところへ行く話になった。
 そして、今はなぜか「恋愛話」へ移行しようとしている。
「お母さんっ、あのねっ、私、学校を休んでいた分の勉強をしなくちゃいけないの。だから、また今度ね?」
 飲んでいたハーブティーを持ってダイニングから撤退。
 自室のドアを閉めてほっとする。
「隠しごとって難しい……」
 私、いつまでこんなことを続けるのかな……。
 心配をかけているのだから、早く記憶が戻ったことを話したことがいいのはわかっているし、時間が経てば経つほどに言いづらくなっていくと思う。
 それでも言えない……。
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