光のもとでⅠ
 さらりと返され唖然とする。
 学校での唯兄と久先輩は「知り合い」ということを全く感じさせない接し方をしていた。
 でも、少し考えればそれが当たり前の行動であることに気づく。
「久遠」と「若槻唯」がつながることがあっても、「加納久」と「御園生唯芹」はつながることはない。
 もし、お互いの正体を知っていたとしても、それを人に悟られるような行動は慎まなくてはいけない。
 すべては「久遠」の素性を隠すため。
「……素性を隠すのって大変ですね?」
 唯兄と久先輩は顔を見合わせると、くっ、とふたりして笑った。
< 7,149 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop