光のもとでⅠ
 着拒ってなんだろう……?
「木田さん、私、蒼兄に連絡を入れてきます」
 通路側に座っていた木田さんは席を立つと、
「ご一緒いたします」
「あの、さすがにこのくらいは大丈夫ですよ?」
 木田さんはクスクスと笑った。
「私にも所用があるのですよ」
「……そうなんですか?」
「はい」
 座ったばかりの席を立ち先ほどのデッキに戻ると、私はすぐ蒼兄に電話をかけた。
 木田さんも電話かと思ったのだけど、携帯を取り出す様子はない。
 コール音が切れて通話がつながると、すぐに名前を呼ばれた。
『翠葉っ!?』
 その声に、心配をかけてしまった、現在進行形で心配をかけている、と申し訳なく思う。
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