光のもとでⅠ
 秋斗さんが出迎えた人は三十代半ばくらいの男の人で、カッチリとしたスーツに身を包んでいた。
「翠葉お嬢様の警護班責任者を務める藤守武継(ふじもりたけつぐ)と申します。以後お見知りおきください」
 警備員さんらしく、型にはまったような挨拶だった。
「彼はもともと学園警備の責任者をしていた人で、人を統括する能力にも長けていれば、近接警護のスペシャリストでもあるんだ。だから、何かあったときに翠葉ちゃんの近接警護には武継さんがつく。それから本社のふたりなんだけど、そこに唯が加わることになった。唯との挨拶はひとまず置いておいて、本社のふたりとはネット回線で話せるよ」
 秋斗さんが話す傍らで、藤守さんがてきぱきとその準備をしていた。
「通信がつながりました」
 藤守さんに言われ、まずは秋斗さんがパソコンの前に立つ。
「映像、音声共に問題なし?」
『問題ありません』
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