光のもとでⅠ
 きっと熱のせいだろう。
 額に貼ってある冷却シートはすでにその効力を失いカラカラになってめくれ始めていた。
 俺はサイドテーブルに置いてある替えを手に取り彼女の額に触れる。
 熱い――。
 当たり前の感想。
 そりゃ、熱が四十度を超えれば手で触れても熱いと感じるだろう。
「俺が代わってあげられたらいいのにね」
 きっと彼女はそんなことは望まないだろう。
 昨日、「打ち上げ」に出なかったら、とかそんなことも考えないんだ。
 楽しかったから今の状況は仕方ない。
 そうやって彼女はありとあらゆることを呑み下そうとする。
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