光のもとでⅠ
 さっきは冷たいローズヒップティーだったけれど、今度はホット。
「傷が治るまではずっと……?」
 ふと、思ったことが口をついた。
 すると、ふわり、と栞さんが笑う。
「そうね。時々は違うものも出すけれど、しばらくはビタミンCを率先して摂りましょう」
「……傷、見てもいい?」
 司先輩が遠慮がちに訊いてきた。
「司くん、それは――」
 栞さんが遮ろうとしたものをさらに自分が遮る。
「いいですよ」
「翠葉ちゃんっ!?」
 栞さんも司先輩もふたりとも驚いている。
 それはそうだよね……。でも、蒼兄が帰ってきたら蒼兄にも絶対訊かれるだろうし、見せろとも言われるだろう。
 それは、湊先生も楓先生も同じだと思う。
 でも、これは自分でやったことだから……。だから、庇われてばかりいるわけにもいかない。
 自分でしたことの責任は自分が取る――。
 これはお母さんに言われてきたことのひとつだ。
 この首の傷もそれに該当すると思う。
 首に巻いてある包帯を外し始めると、その先は栞さんが手伝ってくれた。
< 776 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop