光のもとでⅠ
「ま、この治療を続けていればすぐに治るし、きれいに治るから安心なさい」
 気になることがひとつ……。
「先生、今何時でしょう?」
「ん? 六時を少しまわったところよ」
「今日、日曜日ですよね……?」
 どうして学校が休みの日にこんなに朝早くここへ来るのだろう。
「今日はちょっと外せない用事があってね。これから病院へ行かなくちゃいけないのよ。知り合いのバカが胃潰瘍で運ばれてきて、今日が手術なの」
 胃潰瘍で手術って痛そう……。
 私は今まで早期発見で薬の服用で治してきた。
「相当痛いですよね……?」
「痛いはずなんだけど……どうも痛みには鈍い人間みたいよ。ま、その人間のことも心配だし翠葉のことも気になってたから行く前に少し顔を出しただけ」
 と、言うと立ち上がり、
「じゃ、私は病院に行くけど、何かあったら栞か蒼樹に言いなさい。連絡はつくようにしておくから」
 そう言うと部屋を出ていった。
 こんな時間から病院へ行くくらいだから、相当仲のいい友達なんだろうな……。
 それにしても、司先輩はいったいどんな報告をしたのだろうか。
 先輩に限って誇大報告なんてしてはいないと思うけど……。きっと自分が見聞きしたものを淡々と報告したのだろう。
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