光のもとでⅠ
「彼女、ひとりでご飯を食べることに慣れていません。それから、人が側に控えていることにも慣れてはいない。ですから、木田さんが立っていれば必ず気にするでしょう。その場合、彼女ならお茶に誘うでしょうね。そのときは、彼女の意向に沿った行動をお願いします」
「かしこまりました」
「昨日、木田さんが彼女と一緒にいると知ったとき、心底ほっとしました。ありがとうございます」
「私は何もしてはおりません。ただ、お嬢様の望むよう、こちらへお連れしたまでです」
「そのことに感謝したい。彼女はあのまま藤倉にいたらもっとつらかったはずです」
 場所が変わったところで抱えるものは変わらない。
 きっと彼女もそんなことくらいはわかっているだろう。
 それでも、どうにもできないくらいに追い詰められているのだ。
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