光のもとでⅠ
 俺は秋兄の背後にしゃがみこんでは背を預ける。
 わざと体重をかける感じで。
「とりあえず、今後一切身を引くとか考えないでほしいんだけど……」
「あぁ、しない……。ちょっと道を間違えるところだったかも」
「……それ、平気だから」
「え?」
「俺が気づいた時点でぶん殴ってでも引き摺り戻すから」
「……じゃ、おまえが道を踏み外しそうになったら俺がその役引き受けてやるよ」
 秋兄の柔らかい髪が俺の頬に触れた。
 至近距離で目が合えばどちらからともなく笑みが漏れる。
 くつくつと、クスクスと……。
 昨日話したときよりもっと近く。
 小学生のとき、初めて弓を持たせてもらったときのような距離。
< 7,948 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop