光のもとでⅠ

30~45 Side Tsukasa 06話

 この季節になると朝練に来る部員が減る。
 うちの部の朝練は強制ではなく、自主練という位置付けのためだ。
 真面目な生徒が多いとはいえ、寒い時間に好き好んで早く来る人間は少ない。
 朝一の人のいない道場は、俺の精神安定剤の役割を担っていた。
 ガランとした道場を開け放ち風を通す。
 この場所に自分ひとりしかいないということを視覚以上に肌で感じる。
 その感覚がよりいっそう際立つ冬が、小さい頃から好きだった。
 夜に感じる無機質な空気とは違う。
 ただただ神聖で、どこまでも厳かな空気。
 無条件で身も身体も引き締まる――そんなふうに思えた。
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