光のもとでⅠ
 本当に嫌になる。
 常に秋兄のあとを追っている自分が。
 目の前に見本があるのに、同じことをしそうになる自分が。
 意識してそうしているわけでもないのに、同じ道をたどりそうなところが本当に最悪。
「司」
 気づくと翠は写真を撮りに席を立ち、藤棚の下には俺と秋兄しかいなかった。
「すごい仏頂面」
「うるさい」
「俺、帰ろうか?」
「気遣われるともっとむかつく」
 秋兄がくっ、と笑った。
「本当、司の表情が豊かで見てて飽きないな。俺、割と好きだけど?」
「気色悪い」
 秋兄はくつくつと笑った。
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