光のもとでⅠ
「あくまでも学園内だけど見ろってこと?」
「見ろ、というよりは、集中しろ、かな」
 全体像が見えている人間の言葉だと思った。
 力を試されているはずなのに、こういう部分で子供扱いされている感が否めない。
 そんな自分の年令に、立ち位置にイラつく。
 じーさんが俺にやらせたいことがなんなのか。
 それが見えるようで見えない。たぶん見えていない。
 見えていないと何か綻びがあるような気がして心に影を落とす。
 翠が写真を撮っている間、俺も秋兄も何をするでもなく、ただその辺の風景に目をやっていた。
 そして、大半は翠の写真を撮る姿を目で追うことになる。
 俺たちの視線に気づいた翠は、はっとして時計に目をやった。
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