光のもとでⅠ
 ローテーブルの向こう側にいた海斗くんが腰を上げ、ベッドサイドまで寄ってくると、ベッドを背にして閉まったドアを見ながら話し始めた。何を考え込むでもなくすんなりと――。
「まずは彼氏彼女結婚ってやつからね。俺は結婚前提で付き合い始めるのでもかまわないかな。……というよりは、そういうふうに考えられる相手じゃなかったら付き合わないかも?」
「でも、まだ高校生だよ?」
「うん、高校生だな。もしかしたら、この辺はうちの一族独自の考えなのかも」
「海斗くんは誰かとお付き合いしたことある?」
 海斗くんはベッド越しに振り返り、「ない」とキッパリと口にした。
 びっくりしてまじまじと海斗くんの顔をみていると、
「意外って顔?」
 コクリと頷く。
「だって、海斗くんはとても人気があるから……」
「ま、人気はそこそこかな」
 と、爽やかに笑う。
「でも、それと自分が好きな子って別じゃん?」
 あ……確かに、そうかもしれない。でも――。
「初恋がまだなんて言わないから安心しろ」
 言われてはっと顔を上げる。
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