光のもとでⅠ
 俺は一歩を踏み出した。
 わざと足音が立つように。
「さぁ、それはどうだろう? 目撃者がいれば別だと思うけど? 目撃者はふたり。そして、証拠の動画。これだけ揃っていれば申し開きはできないと思うけど」
 実際、この場には俺と武明さんのほかにもふたりの警備員がいる。
 姿を現したのが俺と武明さんというだけのこと。
「司様っ――」
 越谷は口元を手で覆うが、そんな悲愴そうな顔をしてももう遅い。
「翠には手を出すな。そう牽制してきたつもりだったが、そんなこともわからなかったのか?」 
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