光のもとでⅠ
「司っぽいけどさ、でも、そんなふうに話さなくていいよ」
 俺は理解しかねて先輩の目をじっと見る。
「つまりさ、それだけのことがあってつらかったんだろ? やっと想いが通じたのに記憶が戻って関係まで振り出しに戻って。翠葉ちゃんの周りに不穏な動きがあったり。……挙句、今日のこれなんだろ? そんな淡々と他人事みたいに話さなくてもいいじゃん」
「っ……」
「いや、司がこれだけ話せば十分なのかな?」
 言いながら先輩は首を傾げる。
「俺、一応一学年先輩だし、こんなときくらいは弱み見せても問題ないと思うよ」
 言われた直後にインターホンが鳴った。
「はいはいはーい!」
 先輩はインターホンには出ずカメラで姿だけを確認すると、
「俺、ちょっと取りにいってくるわ」
 と、玄関を出ていった。
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