光のもとでⅠ
 だけど、それだけで終わるわけがない。
 ほかの狙いはなんだ……?
 現況、じーさんは司を陥れるような動きをしている。
 司を落とすのにもっとも有効的な手段は翠葉ちゃんに拒絶されることだろう。
 翠葉ちゃんが司を拒絶するなどあり得ないが……。
 でも、もし――意図的にそうなる状況を作り出すことが可能だとしたら?
「蔵元……頭痛い。頭痛薬ちょうだい」
「胃薬もご一緒に飲まれたらいかがですか?」
「そうする……」
 俺はデスクに突っ伏したまま思考飽和状態になっていた。
 蔵元に差し出されたミネラルウォーターと薬に手を伸ばし、ゴクリと一気飲み。
 冷蔵庫で冷やされていた水が食道を通って胃に到達する。
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