光のもとでⅠ
 夕方五時を回ると湊先生が顔を出す。
「とりあえず、問題になりそうな波形は出てなかったわね」
 言いながら心電図を外していく。
「でも、できる限り規則正しい生活を心がけなさい」
 私はコクリと頷いた。
 ここ最近、寝不足というのはあまりなくて、たいてい日付が変わる前にお布団に入っていた。
 昨日が異例だっただけなのだ。でも、言い訳はしない。身体に起きている症状が事実ですべてだから。

 私は胸につかえていたものを湊先生に話す。
「先生、命ってなんだろう……。心ってなんだろう……。どちらも自分の中にあるもので、どちらも大切なものだけど、どちらかを優先しなくちゃいけないとき、人はどっちを選ぶのかな……」
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