光のもとでⅠ
 私、今学校では自分ではない人みたいだから。ただ、なんとなく笑って、なんとなく言葉を交わして、なんとなく勉強をして、なんとなく過ごして――。
 ここに来ると、そういう鎧みたいなものが全部剥がれて「素」になる。だから、こんな――。
「なーんで止まっちゃうかね? そのまま全部吐き出しちゃえばいいのに」
「え……?」
「ここに来るのは三回目。前回も今みたいにわーって話しだして止まっちゃったでしょ? で、その先は言わない。私みたいに全部言っちゃえばいいのに。言うだけならタダだよ? 楓さんは、翠葉ちゃんが何か内に抱えてるものがあって、それを吐き出させたいがためにここに連れて来たんでしょ? 翠葉ちゃんはちゃんと役目を果たしているのに、私は役目を果たせてないんですけど?」
 ちょっと、ツン、とした感じの言い方。
 でも、初対面のときのようなものではなく、「ツン」の中に優しさが感じられた。
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