光のもとでⅠ
「昼休み、何も言ってなかったから翠は教室かと思ってた」
「あ……うちのクラスは人が決まったのついさっきなの」
「段取り悪いな。たいていのクラスは午前中に決まってるところが大半だと思うけど」
「そうなの……?」
「たいていは。……立候補したのか?」
「ううん……海斗くんに天気がいいからって誘われたの」
「ここ、天候は関係ないと思うけど」
 確かに桜林館は屋内なので天候は関係ない。誘われたときに言われたもうひとつの言葉を思い出す。
「……普段、あまり桜林館に行くことないからって」
「そう」
「……うん」
 きっと、「天候」は私を連れ出す口実だったのだろう。
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