光のもとでⅠ
 普段は問い詰めるような話し方はしない。明るく元気に、少し大きめの声で話すことはあっても怒鳴ったり、叫んだりはしない。
 今、こうさせているのは、私……?
「――顔合わせて話しているから避けていることにならないとか……一緒にお弁当食べているから避けてることにはならないとか……そいうことじゃない。……翠葉ちゃん、毎日毎日、藤宮先輩の気持ちをスルーしてるでしょっ!? そういうの……」
 香乃子ちゃんの唇が小刻みに震えていた。
「そういうの……物理的に避けられるよりももっとつらいって、翠葉ちゃんは知ってると思ってた――」
「っ……」
「友達にそういうことされてもつらいけど、好きな人が相手だったらもっとつらいよっ? なんでっ!? 翠葉ちゃん、藤宮先輩のこと好きだよねっ? なのに、どうしてっ!? 好きな人が自分を好きになってくれるのなんて奇跡だよっ? そういう恋ができたら大切にしようって言ったじゃん……。翠葉ちゃんずるいよっ。両思いなのにずるいっ。私はどんなに好きでも両思いにはなれないのに……」
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