光のもとでⅠ
「美味しい……」
 大好きな香りを楽しんでいるのに胃がキリキリと痛みを訴える。
「……何か食べたら楽になるのかな」
 少し考えてから部屋を抜け出てキッチンへ向う。
 冷蔵庫の中には昨日買ってこられたであろうプリンとヨーグルト、ゼリーがあった。
 寒い中、冷蔵庫という冷気を放出する扉を開けたままに悩む。
 あまりにも寒くて一度冷蔵庫を閉じたものの、キッチンそのものが冷蔵庫のように寒かった。
 ガウンだけではなく靴下も履くべきだったかもしれない。
 この状況になって、ゲストルームから室内ブーツを持って帰ってくるのを忘れたことに気づいた。
 じっと留まることができず、その場で足踏みをしながら今見た三つを頭に思い浮かべる。
 どれが食べたいかと言われたらみかん入りのゼリーだけれど、冷たい固形物を胃に入れるのはどうなんだろう……。
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