光のもとでⅠ
「そう。簡単に言うと『諦める』ってことが苦手。たぶんだけど、今まで何かを諦めたことはないと思う。むしろ、欲しいのに手に入らないなんて対象が現れたら間違いなく『固執』する」
 海斗くんが言った言葉の意味はわかる。けれど、それでどうして私が悩まなくていいことになるのかはわからない。
 じっと海斗くんを見ていると、楓先生が補足してくれた。
「翠葉ちゃんが司を選ぼうが秋斗を選ぼうが、もしくはふたり以外を選ぼうが、あのふたりが翠葉ちゃんを諦めることはないかもね、って話かな」
「そういうことっ!」
 軽快に、「そういうこと」と言われても……。
「ほらほら」と海斗くんに引張られて中庭に踏み出す。と、後ろから唯兄の笑い声が聞こえてきた。
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