光のもとでⅠ
「そういうケースもある。総会がないときは基本顧問に案件を渡して職員会議にかけられる。そのうえで、学園規則委員に持ち込まれるんだ。時間がかかるときは二、三ヶ月かかる。でも、総会の議題にあげることができれば、学園長、高等部校長、学園規則委員の三人が揃うことから満場一致が得られればその場でゴーサインが出る。今回はタイミングが良かったんだ」
 タイミングがいいにしても、これだけのことを一週間でやりきるというのはとても大変だったのではないだろうか……。
 この総会に時期を定めて動き出したのはいつなのだろう。
 佐野くんの話しだと一週間ということだった。
 それは私が休んでいた時間……。
 私には耐え難いくらい長い時間だったけれど、ここにいる人たちは、みんな一分一秒を忙しく動いていたのだろうか。
「……そんな顔で歩くなよ?」
「え……?」
「みんな、翠に笑ってもらいたくてがんばったんだ。その当事者がそんな顔してるな。失礼だ。……それに、実際問題冷え性に悩む女子は多数いた」
 先輩の物言いは相変わらずだ。
「司先輩は魔法使いですね。英語で言うとウィザード?」
「……やっぱり翠の頭の中を割って見てみたい」
 そんな話をしていると、観覧席へと上がる階段にたどり着いた。
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