光のもとでⅠ
 朗元さんと静さんから恩賜を受けた人間だから。ふたりの庇護下に入った人間だから。
 私は見に行くことはおろか、ベッドから下りられる状態でもない。けれど、警備員の詰め所には、間違いなく私についている護衛の人やお母さんの警護についている人たちがいるのだろう。
 そんなことをうつらうつら考えながら点滴から入れられた薬で眠りについた。

 夜中、胸が苦しくて何度も目が覚めた。
 苦しくてつらいのに、このときほど生きていることを実感したことはなかったかもしれない。
 人はどういうときに生きていることを実感するのだろう。
 痛い思いなら今まで嫌というほどしてきたし、それを放棄したいと思ったことなど数知れない。今年の夏には痛覚神経を切ってほしいと切に願った。
 そんな自分が思うのだ。寒い、暑い、痛い、苦しい――それらは確かに生きている「証」なのだと。
< 9,084 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop