光のもとでⅠ
 ティーカップから、湯気に乗ってラベンダーのいい香りが漂ってくる。その香りに全神経を注いで気持ちを落ち着けるように努めた。

 カップを持って戻ると、秋斗さんは一枚のプリントを見ていた。
「司が補習の先生になるんだってね」
「はい……」
 気持ちを一新してきたつもりでも、すぐ振り出しに戻る。
 秋斗さんはラベンダーティーを一口飲むと、
「もし、選ぶ自由が翠葉ちゃんにあったらどうする? 選べるとしたら、どうする?」
「……え? 選ぶって……何をですか?」
「この用紙、もう一枚あるんだ」
 もう、一枚……?
 秋斗さんはブリーフケースからクリアファイルを取り出し私に見せた。
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