光のもとでⅠ
「でも、うまくいってるんでしょ? 良かったじゃない」
「ったく、あんたはちっとも変わらないわね? ま、結果的に、よ。結果的にいい相手と当たったかな、とは思ってる」
「篠宮麗二、顔もいいしね。娘、もう四歳だっけ?」
「そうよ、まどかの成長を見てると自分が老いるわけだわ、と痛感してるとこ。で、あんたは?」
「私? さぁ、どうかしらね」
「結婚ってそんなやなものでもなかったわよ?」
「くっ、梓の口からそんな言葉が聞けるとは思ってなかったわ」
「今年で三十でしょ? そろそろ賞味期限やばいんだからどうにかしなさいよ」
「何それ……女に賞味期限があってたまるかっ!」
「あるのよ~。っていうか、女なんてしょせん食べ物なんだから」
「ちょっと、そこに健全たる未成年が寝てることお忘れずに」
「あぁ、御園生翠葉ね? ねぇ、あの子大丈夫なの? 自己紹介しただけだからどんな子なのか知らないけど、見るからに擦れてない子代表って感じじゃない」
「それね、擦れていない以上に性質悪いわよ。純粋培養ってほうがしっくりくる」
「そんな子があのメンバーの中になんでいるのよ」
「さぁね? そろそろ起きる頃じゃないかしら?」
 ……えっと……湊先生と篠宮先生……?
 私、保健室まで歩いてこれたっけ……。
 湊先生がいるということは保健室なのだろうと思う。
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