光のもとでⅠ
『だーかーらーっっっ! 会いたいなら会いに行けばいいじゃないですかっ。もうずっと会ってないんでしょっ!? それで機嫌悪くてやたらめったらハイスピードで仕事こなされるこっちの身にもなってくださいよっ。誰もが秋斗さんペースで仕事できると思わんでくださいっ。ダブルチェックで回されてる秋斗さんの作ったもんが山積みなんですよっ』
「納期までは時間があるはずだけど? 納期ギリギリでテストデータ渡すよりもいいだろ?」
『確かにそうなんですけどっ! なんつーか、もうそういう問題じゃないですっ。ものには限度ってものがあって、納期まで時間があってもこれだけのものが山積みになってると精神衛生上よろしくないんですっ。しかも、最近めっちゃ口数少ないしっ」
「必要最低限のことは伝えてるはずだが……」
『だーかーらーーー……いい加減、ガス抜きしてきてくださいっ。部下からの切実なオネガイですよ、オーネーガーイっ』
「……翠葉ちゃん、体調は?」
 久しぶりに好きな女の子の名前を口にした。けれど出てくるのはやっぱり体調の心配で……。
< 9,372 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop