光のもとでⅠ
 にこりと笑って「頼むな」とか、どれだけ殺し文句なの……ったく。
「いーですよ、いーですよ。俺にできるのそのくらいだし」
 半ば適当に答えたら、「それは違う」とキッパリ否定された。
「唯だからできることで、唯だから頼めるんだ。唯じゃなきゃだめなんだよ」
 もう……この家族は――絶対に、俺を泣かせたいに違いない。
 ギリギリと奥歯に力をこめ、「風呂に入ってくる」なんて理由であんちゃんの部屋から撤退した。

 翌朝、廊下で物音がして目が覚めた。
 物音と言っても、それほどうるさかったわけでもなんでもない。ただ、朝という時間だからこそ響いて聞こえた、そんな音。
 乾燥に喉をやられた気がして、水を飲みに行くか……とぬくいベッドから抜け出る。と、リィの部屋のドアが開いていた。聞こえて来るのはあんちゃんとリィの声。
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