光のもとでⅠ
 この人はどうしてこんなにもにこやかに落ち着いて話すのだろう……。碧さんも取り立てて不安そうな表情は見せない。
 俺は、最後に責任を果たすべく口を開く。
「明日、翠に仕掛けます」
 秋兄の意図を推測し自分の考えをまとめ、覚悟を決めるまでに時間がかかった。だから、ギリギリのタイミングになってしまったわけだけど、結果としては一番効果的なタイミングで告げることができそうだ。
「明日、明後日の両日、翠が発作を起こしても対応できる医療スタッフを待機させます。救急搬送がスムーズに行えるよう、ヘリも待機させます。だから、どうか……許してください」
 頭を下げ、零樹さんと碧さんの返事を待った。
「碧さん、嬉しいね?」
「そうね……。ここまでバックアップ体制を整えてくれるのなら、翠葉の動きたいように……多少の無理も目を瞑れる気がするわ」
 ふたりに「ありがとう」と言われ、頭を上げた。
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