光のもとでⅠ
「車出してもらってかまいませんから」
「ですが、行き先は空港近くのホテル――」
「問題ありません」
 ピシャリと言い放たれ、蔵元は車を発進させた。
「見送りじゃなかったら何の用?」
「……バカがいるから」
「は……?」
「バカがいるから首に縄を付けに来た」
 首に縄とはまたすごいことを言う。けど、とぼけられるところまでとぼけてみようかな。
「で? そのバカはどこに?」
 訊くと、司は心底呆れたような顔で俺を見た。即ち、正面にいるとでも言いたいのだろう。
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