光のもとでⅠ
 俺の幼馴染ふたりはとてもモテる。
 ひとりは超絶フェミニストの美都朝陽。もうひとりはコレ、藤宮司。
 どちらも困るくらいのイケメンヤロー。
 いや、イケメンは困らないと思うけど、その近くにいる凡人の俺としては色々と困るんだ。
 ふたりのタイプは正反対。
 司は孤高の王子と言われるが如く黒装束が似合う王子で、朝陽は人当たりが柔らかく、異世界ファンタジーから抜け出てきたような王子様である。
 もうね、黒と白、水と油、地獄と天国、月と太陽、夜と朝。そのくらいに違う。
 朝陽は誰でもカモン。来るもの拒まず去るもの追わず。デートはしても一線は越えない(らしい)。
 司は一切人を寄せ付けない。幼稚部からそれは変わらないけど、長年の付き合いだからか、俺と朝陽が諦め悪いやつらだからなのか、ようやくこうして話せるようにはなった。
 驚くなかれ、こいつと言葉のキャッチボールができる人間はごくわずかだ。
 だからさ、余計に何か頼まれたりすると断れないんだ。希少価値が高すぎて。
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