総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
「わかった」


それだけ言うとミズキは後ろを向いて去っていった。


「おい、てめぇにはもう一つ言っておくことがあるんだ」


さっき殴られた時に気を失っていた、シンの頭をつかみながらヒサはとても低い声で言った。


「がはっ‥‥‥ぐっ」


血を吐き出しながら、不規則な呼吸を繰り返す。


「げほっ!!ごほっ!!」


血だらけの顔のシンがあたしを見る。


肺が潰れているのか、呼吸をするたびにヒューヒューと音がする。


「こっちに‥‥‥。げほっ!!もどっ‥て‥きて‥くれ‥‥」


大切にすると言ってくれたシン。


もう、あのシンとは会えない。


「いい加減にしろ」


その声はどこか怒りを込めていた。
< 334 / 373 >

この作品をシェア

pagetop