もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
そこに居る優衣は、その人混みを掻き分けながら必死に誰かを探している。


目の前には、重々しく迫り来る大きな黒い物体。


それは蒸気をモクモクと吐き出し、今にも動き出そうとしている。


(あっ、これ図鑑で見たことあるっ。確か、蒸気機関車!)


全体的に黒い材木で覆われたそれは、図鑑に載っていたものより少し華奢に見えるが、存在感は圧倒的である。


(ここって、どこかの駅!?)


堂々たるその物体に近付いていき、今度は大きな窓1つ1つを覗き込んで、必死に中を確認し始めた。


ごった返す人混みを急ぎ足で探すけれど、その人はなかなか見つからない。
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