誰かが始める断片劇
「――でさ、今日なんて『食べながら寝ない!』って朝っぱらから母さんにフォークで刺されそうになってさぁ」


「ふふ、君も悪いと思うけど、やりすぎじゃないかな、それ」


「でしょ?もっと言ってやってよ」


「君の家は、本当に楽しそうだね」


「あはは、実物見たらそんなこと言えないと思うよ。ところで、君の家はどんな感じ?」


「私の家?」


問われて、自分の家のことを考えて、


「………」


少し、暗い気分になった。


「あれ?もしかして聞いちゃいけないことだった?」


よっぽど暗い顔をしていたのか、リオンは首を傾げる。


「ああ、もしかしてDVにあふれているとか? あ、ちなみにDVってのは、ドメスティックバイオレンスの略で、意味は家庭内暴力、間違ってもドメスティックバイオレットと略さないように。家庭内紫っていう意味になるから。ところで、家庭内紫ってどういう状況?」


「ふふ、家中紫なんじゃないかな?」


私を気遣って言ってくれたリオンの冗談に、私は自然と笑っていた。


リオンはさらに続ける。


「というと、壁も天井も家具も紫で、食器も紫、飲み物も紫、料理も紫、人間関係も紫」


「ふふっ、紫色の人間関係って、何?」

「さあ?でもまあ、あまり良好じゃなさそうだね。紫色の人間関係」


そんな話をしながら、二人は笑った。
< 11 / 42 >

この作品をシェア

pagetop