幻月幻夢
「分かってくれたようですね。」


鳥勾は、そう言うと元の姿に戻った。


『さあ、桜花様。お眠りください。』


「そうね。なんだか、急に眠くなってきたは。」


重い瞼をゆっくりと下す。


『おやすみなさい、桜花様』


「おやすみ、鳥勾…。」


私は、少しずつ夢の中へと引き込まれていった。


『…眠ったか。』


鳥勾は、眠りについた桜花をみる。


『桜花様、どうかこの国を・・・紫刹をお助けください。紫刹は・・・』


そこまで言って鳥勾は、口を閉じた。


目には悲しみの色が浮かび、それを見ているものは誰もいない。


鳥勾は、桜花が寝ていることを確認すると静かに部屋から出て行った。
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