言った者勝ち、でしょ。
1



私の目に映る。

繋がれた手。
彼の背中。
すれ違う車。
限りなく黒に近い青色の空。





――――――
―――





「それじゃ、お疲れ」



普段どおり彼と途中まで帰りが一緒になって。

普段どおり別れの挨拶を交わして。

普段どおり、互いに背を向けて歩く。





「待って」





…はずだったんだけど。





「ん?」



呼び止められて振り返れば、もう目の前に彼がいて。



「ちょっと時間ある?」

「時間? って、えっ」



その近さに怯む隙もなく、手をとられたんだ。





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