『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


彼女から離れた俺は…

“部屋で勉強してるから”と言葉を残して

一目散にキッチンを後にした。


リビングのドアを開けると、

壁に張り付くような形で…

姉貴と女性アシスタントが……。


「何してんの?」

「べ、別に……」

「もしかして…覗き見?」

「アハハハッ……バレた?」

「バレバレだろ」

「いやぁねぇ~今、超イイ感じだったから入って行くのはどうかと思ってねぇ~?」

「はぁ?」

「ねぇ~?」



アシスタントに同意を求めるように…

アシスタントはうんうんと頷いている。

すると、2人は目を見合わせて…


「「ラブラブ~~」」


ニヤニヤしながら俺をからかう。


「そんなんじゃねぇよ!!」


俺は見透かされている気がして…

慌ただしく階段を駆け上がった。


自室のドアを閉め、ドアに凭れて…

ったく、何だよ!!ニヤニヤしやがって…。

俺は別に何も……。

彼女はただの……依頼人だって…。


俺は心の中で何度も呟いた。


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