アカイトリ

人とのつながり方

わたしは追われていた。



なんとなく…

ただなんとなく、人里の近くに降りてみたくなったのだ。



そして、矢を射られた。



油断していたわたしの腹にそれは突き刺さり、食い込み、鳥の姿のわたしではそれを抜くことができなかった。



あと少しすれば人の姿になれたというのに。



あの人の男の集団はわたしを見てこう言った。




「俺はこの世で一番最高のものを見つけた。


  これは俺のものだ

   
    これは、絶対に売らないし、手放さないぞ」



頭のような男がそう言い、周りに居た下っ端共たちが卑下た笑いを浮かべたが、その男はそうではなかった。


朱い鳥の姿のわたしを見て、何かを知っているようだった。


わたしは神の鳥。


わたしは、伝説の鳥。


残された文献は非常に少なく、また種の数も非常に少ない。


逃げなければ。


捕まればわたしはもう飛べなくなる――



逃げて

逃げて

逃げ続けた。



その果てに…碧の末裔と出会った――



運命か。


そんなものが、存在するのか。


嬉しいのか、悲しいのか分からない。


だが、助けてくれた。



「愛している」



と、言った。



愛とは…何だ?


今この胸にあるあたたかいものが…それなのか?


碧よ。


最初に造られた鳥よ。


あなたが私たちを、出会わせたのだろうか?
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