もしも君が助けてくれたら
互いの訳あり
6時限目は学活だった。

自習・・・、ということだったけど、皆ワイワイガヤガヤとお喋りタイム。

授業でもこんな感じなので、怒りにくる先生もおらず、結局私が

「静かにー」

と叫ぶものの、誰も聞く耳をたてない。

「ま、当たり前かぁー」

こんな間延びした注意、怖くも何もないだろう。

ふっと横をみると、曉君はさっきからずっと部活届けを睨んでいる。

「何の部活に入るか悩んでるの?」

あの弓道を教えた日以来、曉君に敬語はやめた。

「ん?あぁ・・・」

曉君もそこそこ話してくれるようになった。

「ここはいい部活ばっかりだから迷うよね。私も始め悩んでた」

曉君が片眉をあげた。

「へぇ。弓道部と何と悩んでたんだ?」

「テニスとバスケと陸上と水泳かな」

「多いな・・・」

苦笑を浮かべた曉君に小さく笑い返す。

「スポーツは基本的に好きだったからね。けど、やっぱり弓道でよかったな、って思う」

「ふーん・・・。何で?」

私は弓をひく真似をしてみた。

「集中できるから。よけいなこと考えなくていい。ただ、的に当てることだけに集中すればいい。シンプルで簡単なスポーツでしょ?それに、気持ちいいんだ。的に当たった時の音が」

すると、その時のことを思い出すかのように曉君が目を伏せた。

「・・・そういえば、俺も感じた。的に当たった時の音の快感。確かに、あれは他の部活では見いだせないものだ」

まるで空気と同一になってしまいそうなくらい清潔感に溢れた表情だった。

その反面、突然悲しい気持ちになった。

何でかは、分からないけれど・・・。

その不安をかき消すように私は曉君に言った。
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