ともだちのつくりかた。
「……おはよう」


「おはようございます、もう昼ですけど」


こうして起こされるのは三度目で、さすがに僕は最初のようには驚かなくなった。

ただ、痛いのは勘弁してもらいたい。


「これ、今日の食事です」


睨み付ける僕のことをまるで無視して、少女は手に持ったビニール袋から中華まんを取り出した。


「肉まんですよ」


と、聞いてもいないのに具を説明される。

この夏の最中によく見つけてきたものだ。

少女はそれを半分に割ると、片方を自分の口元へ、もう片方を僕の目の前にある地面へと置いた。

香りが鼻腔をくすぐり、限界をとうに超えた僕の胃袋がぎゅうぎゅう鳴る。

手も足も出せない僕には、ただその肉まんを見つめることしかできない。

強烈な香りを放つ肉まんのすぐ隣には、ここ数日で彼女が置いていったおにぎりやパンなどが転がっている。

どれも僕が手をつけられないまま、虫の餌になりつつあった。
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