【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐
想い


――……。


……。


壁に寄りかかって座る俺と、ソファーに横になる大雅。

言葉は何も見つからず、大雅もまた何も言わない。
そうやって数分過ごした時、呼び鈴が鳴った。


「さっきメールしたから、多分朔ちゃんだよ」


短く言った大雅が、朔也を招くために部屋を出ていく。

それを見送ったあと、ぼんやりと天井を眺め…、ふっと息を吐いた。


…真由からのメールは、一通も無かった。
つまり、ずっと電話を掛けてきてたってことだよな…。

なのに繋がらず、そのたびに辛い思いをさせて…。


「…何やってんだろうな、俺」


…あの時、横山家に着いた時に電源を切らなきゃよかったんだ。
電源を切っていたとしても、携帯に触っていればちゃんと思い出してた。

なのに俺は、これっぽっちも触ろうとしなかった。


マジで…、何やってんだよ、俺。




「龍輝」


ドアが開き、大雅が戻ってくる。
その後ろに、無表情の朔也。

朔也はすぐ俺の近くまで来て、ゆっくりと腰を下ろした。


「今までどこに居た?」

「…横山さんのところ」


「…行く前に一言連絡くれれば、俺から真由に説明しておけただろ?」

「ごめん」


「…まぁいいけど。 この後どうする気?」

「………」


……どうすればいいかなんて、わかんねぇよ。

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