に じ い ろ~Rainbow Days~







「えー、明日から春休みに入るが、我が校の生徒であるという自覚を忘れずに、決して問題を起こさないよう________」



何度も聞いたことのあるような言葉は、耳になんて入ってこなくて、ぼんやりと外を眺めていた。


せっかくの修了式だっていうのに、あいにくの雨が窓を叩いている。





どんなに私一人が立ち止まっても、季節は流れ続けた。



夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬が過ぎ…まだ肌寒さは残っているけれど、世間一般に言えば今は春なんだろう。





亮は、二学期からいなくなっていた。


なんでも夏休み中に大阪に戻ったそうだ。


誰にも…未来にも告げずに。



夏休み前最後の日、言葉にできない寂しさを感じたのはあながち間違ってなかったんだな、と今さら思う。








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