海宝堂〜海の皇女〜
「…本島のお姫様の失踪か…これは大きな手掛かりね。」

話しを聞いた3人は宿屋の食堂で食事を取っていた。
おばちゃんの話しはこうだった。

この島も領地に入っている、トイス王国の王女様がどうやら城から失踪したらしい。
あくまで噂なので何故、いなくなったのかはいろいろな仮説が出回っているようだが、厳重警備の城から出た王女を誘拐しようと、悪い奴らがこの海域に集まっているのでは?
と、いうことだった。

「王女様かぁ〜上手く合うことが出来れば、状況は大きく進展するのに…。」

ニーナは一枚の紙をヒラヒラと振った。

「なんだ?その紙は。さっき、あの店のおばちゃんにもらってたやつか?」

そう言うガルにニーナは紙切れを見せた。
そこには笑顔で座っている女性が1人、描かれていた。

「それが王女様よ。肖像画持ってるって自慢気だったから、一枚頂戴っていったら、たくさんあるから〜ってくれたの。
いい手掛かりでしょ?」

「ニーナ!お前、まさか、王女様を誘拐…」

リュートの言葉はあっけなく遮られた。あまっていたパンを押し込まれて…

「バカ。昼間の女神像での話、忘れたの?
鍵になる紋章の話!」

「………………ああ!」

「はぁ…だから、紋章自体は無理だとしても、それにまつわる物がないか調べようってことになったでしょ?」

リュートはニーナの言葉に大きくうなずく。何も考えてないようにも見えるが、これでも結構、真剣らしい。

「それで、王女様とお近づきになれたら、ものすごい進展でしょ?」

「なんで、姫さんがからむんだ?」

「だーかーらー!
国を護ってる神様の事なんだから、王家の人間がそれに関わる何かを持ってたって不思議じゃないでしょ?」

「要するに、王女に借りを作って、城に入り込み、情報を集めようって事だな。」

「…それはちょっと言い方がいやらしいけど…ま、そんなとこね。」

きっぱりと言い放つニーナに、2人はあきれた視線を向けた。
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