ぞっこん
そう耳元で囁くとビクッっ体が反応する。
麻場君はキュッときっちり縛り終えると今度は首に掛かっている麦わら帽子を頭に深く被せた。
「これでよし。
無防備に男に笑顔を見せるもんじゃねぇよ」
意味不明な言葉を口にする麻場君を目を開けて見上げるとパチッと目が合った。
私はすぐに目を逸らすと彼はクスッと笑った。
「どうして逸らしちゃうかな…。
図書館でもそうだよな。
ずっと俺のことを見てるくせに…俺が見ると入江はすぐに俯く」
図書館…。
彼の口からそれが出るとよりリアルに感じる。
「し、知ってたの!?」
「俺が気付かないとでも思った?
あんな熱い視線…俺の事が好きで好きで堪らないんだろ?」
「何を言って!」
言い返そうとした私の唇を麻場君の長くて綺麗な指がスッと当てられた。
「今だってそうだ…。
顔が真っ赤…目も潤んでいて色っぽいぜ」
クラクラする。
寡黙で本が好きで…私の理想とする王子様。
そう思っていたのに…。
こんな俺様なんて!