狼彼氏に甘いキスを

 しばらくして唇が離れる。


 自力で立てない。


 力が抜けて、豊岡くんから離れれない。



「夏織チャン、そんな顔他の男子に見せたら駄目だから。」



 そんな顔…?

「どういうこと?」

「そのまんまの意味。」


 綺麗な顔に意地の悪い笑みを浮かべる豊岡くん。

 不覚にも、



――――ドキッ



 心臓が高鳴った。


「夏織チャンは男に酷いね。」


「豊岡くんに酷いこと言ったっけ?」

 そんな記憶あんまりないけど…。


「違うよ。夏織チャンが思ってる酷いとは違う。」


 だったらどの酷い?

「知らなくていいよ。それが夏織チャンだから。」


 そう言われたら何も聞けなくなるじゃないか。




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