センセイと一緒 ～feel.Naoki～

4.勉強合宿

一週間後。

鈴菜は勉強合宿に向かうバスの中にいた。

桜羽南学園では、毎年夏休みに勉強合宿を実施している。

1年や2年の場合は参加者が学年の半分ほどだが、3年になると参加率は9割となる。

ちなみに場所はここから車で一時間ほどの山中の研修施設で、バスも電車も通っておらず、生徒達は強制的にカンヅメにされる。

鈴菜は寝不足で朦朧としたままバスに揺られていた。

……補講が始まって一週間。

鈴菜は連日、補講の後に直樹の特別講義を受けていた。

おかげでどの教科も、だいぶ理解度は上がってきたが……。


「……」


鈴菜ははぁと息をついた。

直樹が毎日自分のために時間を割いてくれるのは、有難い反面、申し訳ないと思う。

一方的に教えてもらうばかりで、鈴菜が直樹の為になるようなことは何一つない。

鈴菜は毎日、もう充分だよと直樹に言ってはいるのだが……

直樹はそのたびににこっと笑い、言い含めるように言う。